■藤沢周平作品
暗殺の年輪
1973文芸春秋・1978文春文庫―短編集
・原点として、やはり読んでおきたい作品。 「ただ一撃」も忘れ難い作品
又蔵の火
1974文芸春秋・1984文春文庫―短編集
闇の梯子
1974文芸春秋・1987文春文庫―短編集
冤 罪
1976青樹社・1982新潮文庫―短編集
雲奔る
(車墨河を渡るを改題)
1975文芸春秋・1982文春文庫―長 編
暁のひかり
1976光風出版・1986文春文庫―短編集
逆軍の旗
1976青樹社・1985文春文庫―短編集
竹光始末
1976立風書房・1981新潮文庫―短編集
・サラリーマンの悲哀的、他
時雨のあと
1976立風書房・1982新潮文庫―短編集
義民が駆ける
1976中央公論社・1980中公文庫―長 編
・日本史をやっていると出てくる、江戸時代中期の「三方国替え」と、それに反対する百姓一揆(天保一揆)の顛末記。理不尽な国替えの決定に至るまでの経緯やその後の幕府の動きと、地元庄内藩での反対派百姓たちの動きが、リアルに描き出されています。特に東北弁がリアルで効果的。クライマックスで「義民」たちが文字通り駆けてゆく様は圧巻です
闇の歯車
(狐はたそがれに踊るを改題)
1977講談社・1981講談社文庫―長 編
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闇の穴
1977立風書房・1985新潮文庫―短編集
喜多川歌麿女絵草子
(歌麿おんな絵暦を改題)
1977青樹社・1982文春文庫―連作短編
長門守の陰謀
1978立風書房・1983文春文庫―短編集
春秋山伏記
1978家の光協会・1984新潮文庫―連作短編
・ 庄内地方の民話を読むような印象
東北のとある村が舞台の、人情ものと言うんでしょうか。短編の連作ものです。村に居着いた山伏と村人との交流が、明るいタッチで描かれています。村で起こったトラブルを、山伏が解決していくというのがメインの流れかな。若い山伏がなかなかの好男子に描かれています
一 茶
1978文芸春秋・1981文春文庫―長 編
用心棒日月抄
1978新潮社・1984新潮文庫―連作短編
・忠臣蔵の外伝として書かれたものですが、代表的な人気シリーズとなりました。青江又八郎、細谷源太夫、吉蔵ら登場人物が魅力
神隠し
1979青樹社・1982新潮文庫―短編集
消えた女
−彫師伊之助捕物覚え−
(呼びかける女を改題)
1979立風書房・1983新潮文庫―長 編
・江戸を舞台にしたハードボイルドはこのシリーズに尽きる、というにふさわしい作品。他のシリーズにない魅力があります
回天の門
1979文芸春秋・1986文春文庫―長 編
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驟り雨
1980青樹社・1985新潮文庫―短編集
橋ものがたり
1980実業之日本社・1983新潮文庫―市井もの短編集
・作者の持ち味を満喫することができる作品の数々。とくに「思い違い」を私は忘れることができません
霧の果て
−神谷玄次郎捕物控−
(出会茶屋を改題)
1980双葉社・1985文春文庫―連作短編
・立花登、伊之助に並ぶ探索物連作短篇
春秋の檻
−獄医立花登手控え−
1980講談社・1982講談社文庫―連作短編
・ 「春秋」「風雪」「愛憎」「人間」の4部作です。主人公は、時代物のそれとしても珍しい、小伝馬町牢獄付きの医者=獄医。しかも、さすが医者だけに剣はふるわず、これまた珍しく柔術の達人で、ならず者を豪快に投げ飛ばしたり。舞台が牢獄ということもあって、思わぬ事件に巻き込まれたりしつつも、悲惨な状況で生きる人間の心の襞が見え隠れするような話が多いです。そんな中で、この若い獄医の主人公が救いになる人間として描かれているように思います。主人公の日常を取り巻く家族や友達との交流と成長も、連作ものならではの楽しみ。初めて読んだ時は暗いストーリィだと思いましたが、繰り返し読んでいる内に江戸時代の青春篇というような若々しさを感じました。山本周五郎「赤ひげ診療譚」の保本登に対抗するような主人公です。こちらの方が若者らしい
孤 剣−用心棒日月抄−
1980新潮社・1984新潮文庫―連作短編
・青江又八郎と名コンビになる女忍びの佐知が活躍をします。更なる魅力が展開
闇の傀儡師
1980文芸春秋・1984文春文庫―長 編
隠し剣孤影抄
1981文芸春秋・1983文春文庫―短編集
・数々の秘剣が登場。それにまつわる登場人物も多彩。暗い話もあるし、しみじみとした味わいのある作品もあります。とくに「女人剣さざ波」の邦江が忘れ難い主人公です
隠し剣秋風抄
1981文芸春秋・1984文春文庫
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夜の橋
1981中央公論社・1984中公文庫―短編集
時雨みち
1981青樹社・1984新潮文庫―短編集
風雪の檻
−獄医立花登手控え−
1981講談社・1983講談社文庫―連作短編
・立花登の活躍はますます好調
周平独言
1981中央公論社・1984中公文庫―エッセイ
霜の朝
1981青樹社・1987新潮文庫―短編集
密謀
1982毎日新聞社・1985新潮文庫―長 編
・関ヶ原時、上杉の行動の理由を解き明かす。珍しい戦国大名もの。
関ヶ原前夜を、上杉景勝・直江兼続主従の視点から描く傑作。石田三成と密約を結びながら、上杉方が関ヶ原に参戦しなかったのは何故か。戦国末期の政治的駆け引きと、上杉方の忍びの暗躍とが交錯して、時代劇の醍醐味が十分に味わえます
漆黒の霧の中で
−彫師伊之助捕物覚え−
1982新潮社・
1986新潮文庫―長 編
愛憎の檻
−獄医立花登手控え−
1982講談社・
1984講談社文庫―連作短編
・立花登の待遇も徐々に改善してきた様子です
よろずや平四郎活人剣
1983文芸春秋・1985文春文庫―連作短編
・用心棒シリーズに似て非。比較して読むべし
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人間の檻
−獄医立花登手控え−
1983講談社・1985講談社文庫―連作短編
・立花登シリーズ完結編。青春時代からの訣別の時がやってきた、というところ
刺客−用心棒日月抄−
1983新潮社・1987新潮文庫―連作短編
龍を見た男
1983青樹社・1987新潮文庫―短編集
海鳴り
1984文芸春秋・1987文春文庫―長 編
・妻子ある商家の主人と、夫のある商家の妻の恋の行方を描く名作。二人を応援したくなるストーリィ展開は流石のもの。渡辺淳「失楽園」と同様に心中予定だったが、変更したとのことです
風の果て
1985朝日新聞社・1988文春文庫―長 編
・出世競争は必ずしも非ならず。サラリーマンの出世競争を見るようです
決闘の辻
1985講談社・1988講談社文庫―短編集
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ささやく河
−彫師伊之助捕物覚え−
1985新潮社・1988新潮文庫―長 編
・伊之助シリーズはたった3冊。もっと読みたかった異色の作品でした
白き瓶 小説長塚節
1985文芸春秋・1988文春文庫―長 編
花のあと
1985青樹社・1988文春文庫―短編集
小説の周辺
1986潮出版社・1990文春文庫―エッセイ
本所しぐれ町物語
1987新潮社・1990新潮文庫―連作短編 市井もの
・アンダスン「ワインズバーグ・オハイオ」と同じ構成の短篇集
蝉しぐれ
1988文芸春秋・1991文春文庫―長 編
・海坂藩もの代表作。詩情溢れる名品
たそがれ清兵衛
1988新潮社・1992新潮文庫―短編集
・「隠し剣」と同じ傾向の短編集 人物設定に妙味があること、明るさがあることが「隠し剣」に優る魅力の理由
麦屋町昼下がり
1989文芸春秋・1992文春文庫―短編集
・表題作の決闘シーンはまさに手に汗握る、という風がありました
市塵
1989講談社・1991講談社文庫―長 編
・新井白石の話。それにしても藤沢周平には粗さというものがないと、つくづく感じた作品
三屋清左衛門残日録
1989文芸春秋・1992文春文庫―連作短編
・元用人の隠居後の生活を描く、作者得意の連作短篇
藩の重鎮が息子に家督を譲り、さて気楽な隠居生活、と思っていたら、現役の友人からいろいろ頼られたり、息子や若い世代とのジェネレーションギャップにもごもご言ってみたり……。隠居生活もなかなか波瀾万丈なようです。息子の嫁との交流が、ちょっといい感じ。かく老いたいものです
玄鳥
1991文芸春秋・1994文春文庫―短編集
凶刃−用心棒日月抄−
1991新潮社・1994新潮文庫―長 編
・シリーズ完結作、でも趣は前3作とまるで違います。クロフツばりの探索推理もの。幕切れの明るさが好きです
天保悪党伝
1992角川書店・
1993角川書店・2001新潮文庫―長 編
・天保期の有名な悪党5人衆を描く連作もの。単なる悪人としてではなく、血の通った人間としての彼らを描いています。藤沢周平は、時代物/現代物(ひとつしかありませんが)を問わず日本語が美しいことで定評があります。本当に、読んでいると情景が目にありありと浮かんできます。
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秘太刀馬の骨
1992文芸春秋・1995文春文庫―連作短編
・武士もので骨のある連作短篇。内容は、登場する武士ひとりひとりの人生を描き出すようで、味わい深いものがあります
夜消える
1994文春文庫・1995文芸春秋―短編集
半生の記
1994文芸春秋・1997文春文庫―自 伝
・藤沢さんの作家に至るまでの道筋は他で紹介されているとおり。本書では最初の悦子夫人との経緯が書かれており、妻の死を救えなかった無念の気持ち等を吐き出すために懸賞小説へ応募し始めたという一文が印象的
ふるさとへ廻る六部は
1995新潮文庫・1998新潮社―エッセイ
・エッセイ集。藤沢周平は、エッセイも巧いです。訥々としているようで、実は内に熱いものを秘めている。故郷・東北への想いや日常のさりげない話なんかにあらわれる、ちょっとした心の動きの描写に、はっとさせられます。絵画に明るいとか、海外の推理小説をよく読んでいるとか、そんな意外な面を発見したりもしました
日暮れ竹河岸
1996文芸春秋・2000文春文庫―短編集
・ごく短い作品。一瞬だけ触れ合うような味わい
漆の実のみのる国
1997文芸春秋・2000文春文庫―長 編
・童門冬二「小説上杉鷹山」とはまるで違った出来上がり。作者の現代への警鐘・批判を感じます
早 春
1998文芸春秋―短編集
・時代もの2篇+珍しい現代もの1篇+エッセイ。現代ものを除けば如何にも藤沢さんらしい味わい
静かな木
1998新潮社・2000新潮文庫―短編集
・円熟した巧さを感じる、海坂藩もの短篇3作。うち1作は以前にもあったようなストーリィですが、前後2作はユーモラスさが堪らなく嬉しい。海坂藩の支藩として“海上藩”が登場
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